リウマチは経口薬だけで治せる時代へ
こんにちは、かぴららです(*^.^*)
リウマチは経口薬だけで治せる時代へ、新薬バリシチニブは単剤でもMTXやバイオを上回る効果示す
とのタイトルで、日経メディカル1月28日に掲載されていました。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/201601/545529.html
昨年秋の米国リウマチ学会での報告です。
個人的には、副作用もあるので、まずは新薬の安全性が確立してほしい、と思いました。薬の選択肢が増えるのは嬉しいです。
・・・・・以下、引用
米国リウマチ学会(ACR)のRA治療ガイドラインが3年ぶりに改訂された。今改訂の目玉の1つがJAK阻害薬トファシチニブの位置付けを明示したこと だ。発症6カ月以上で抗リウマチ薬(DMARD)単剤不応例への治療選択肢の1つとしてトファシチニブを、従来型のDMARDの併用療法や腫瘍壊死因子 (TNF)α阻害薬などの生物学的製剤(注射薬)と並んで推奨した。
トファシチニブは、既存治療で効果不十分なRAの治療薬として米国で2012年11月に世界で初めて承認され、我が国でも2013年5月に薬価収載され ている。細胞質内チロシンキナーゼを標的とする経口薬であり、複数の炎症性サイトカインのシグナル伝達を媒介するJAKファミリーを阻害することで、RA の病態を改善する。
慶應義塾大学リウマチ内科教授の竹内勤氏は、「これまでの大規模臨床試験で生物学的製剤に匹敵する有効性と、投与早 期からの効果が示されている。また、生物学的製剤の多剤無効例でも有効性が期待できる。さらに経口薬であることも患者の負担軽減に資する」とその有用性を 説明する。
長期寛解例ではドラッグフリーも
実際、これまで50人以上のRA患者にトファシチニブを投与してきたという国立病院機構相模原病院リウマチ科では、「有効例は2~4週間で痛みや腫れが改善するなど、ステロイド並みの効果発現の早さを実感している」(医長の松井利浩氏)という。
同病院で市販後新規にトファシチニブを開始した25人の疾患活動性(clinical disease activity index:CDAI)の変化を示したのが図1だ。
(図はアップできなくてすみません)
全体で12週の疾患活動性は有意に低下し、高疾患活動性の患者は0、寛解が8人になった。また全例メトトレキサート(MTX)の使用歴があるものの、ト ファシチニブ開始時には21人で併用がなく、21人は生物学的製剤の使用歴があったが、「MTX併用の有無や生物学的製剤の使用歴にかかわらず有効性が確 認できた」と松井氏(図2)。
さらに、治験に参加し終了時に寛解状態にあった患者のうち3人でトファシチニブを休止。「休止後の観察期間はいずれも12カ月以上経過しているが、1人 はドラッグフリーを達成、1人はMTX継続のみで、1人はトファシチニブ休止後疾患活動性が悪化したためMTXを増量することで寛解を維持している。いず れも生物学的製剤の使用歴がなく、トファシチニブ休止前2年以上にわたり深い寛解を継続していた症例だった」と松井氏は説明する。
一 方、トファシチニブは国内外の治験で、副作用として鼻咽頭炎や下痢、帯状疱疹や肺炎などの感染症、消化管穿孔、好中球減少、肝機能障害、間質性肺炎などが 認められている。また、トファシチニブ群の曝露量当たりの悪性腫瘍発現率がプラセボ群よりも高かったため、長期曝露時に悪性腫瘍発生のリスクが上昇する可 能性も指摘されている。そのためメーカーは、現在異例の3年に及ぶ市販後全例調査を実施中だ。
市販後調査ではガイドライン非適合例が28%
2015年4月7日現在までに解析された415症例の中間報告では、133例
(32.05%)で副作用が認められ、うち重篤な副作用は33例(7.95%)だった。主な副作用は帯状疱疹、肺炎などの感染症。癌が1例、死亡が4例
あった(6月15日には死亡8例)。これについて竹内勤氏は、「従来の生物学的製剤に比べ、確かに副作用の発現率は高めだ。ただしこれは日本リウマチ学会
が示した『全例市販後調査のためのトファシチニブ使用ガイドライン』の条件を満足しない症例が影響している可能性もある」と分析する。
同ガイドラインでは、対象患者をMTX8mg/週を超える用量を3カ月以上継続使用してもコントロール不良などと定めている。しかし、実際の新規登録症例 (2015年6月15日時点、2063例)のうちガイドライン非適合症例の割合は28%にも上り、8例の死亡例中6例は同ガイドライン非適合例だった。 「まずはガイドラインに則った使用が重要で、安全性についての結論を出すのは時期尚早だ」と竹内氏は指摘する。
松井氏は、「治験例では21人中7人(うち1人が2回発症)で帯状疱疹を経験しており、注意の必要性を感じた。ただし、発症時期や患者背景はまちまち で、帯状疱疹に関する十分な患者教育による早期発見が最も有効な対策だと考えられる。治癒後はトファシチニブ治療の再開も可能だ。患者が治療効果の高さを 実感しているため、帯状疱疹を発症したケースでも治療の再開を強く希望される」と話す。
第二のJAK阻害薬は単剤でも効果
現在、RAに対するJAK阻害薬としては世界で2剤目となるバリシチニブも開発中だ。「昨年11月のACRでは、バリシチニブの2つの第3相試験の結果が発表されたが、いずれも画期的な内容だった」と竹内氏は眼を輝かせる。
1つはバリシチニブの単剤投与およびMTXとの併用投与のMTX単剤投与との比較試験(RA-BEGIN試験)。併用投与のみならず、バリシチニブ単剤投 与でも有意にMTXよりも高い効果が示された。もう1つは生物学的製剤であるアダリムマブ(商品名ヒュミラ)との比較試験(RA-BEAM試験)で、52 週時にACR主要基準の全7項目でバリシチニブはアダリムマブに比べ有意な改善を示した。これらは安全性も同等だった。
「現在の治療では知見が集積されている生物学的製剤を優先するが、JAK阻害薬についても実臨床での十分な使用経験が蓄積されれば、生物学的製 剤より先行して使われるケースが出てくるのでは」と竹内氏は期待する。また患者にとっては、薬価も大きな問題であり、「安全性が確立され安価になれば、そ の動きが加速するかもしれない」と松井氏はみる。
JAK阻害薬の登場で今後のRA治療戦略が大きく変わる日は近いかもしれない。
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